定期借家契約をめぐる誤解

定期借家契約とは
定期借家契約とは聞いてすぐにわかる人はどれくらいいるのだろうか。シェアハウスに住んだことがある人は知っているかもしれない。シェアハウスの多くはこの契約を採用している。ただ、不動産仲介業者からすると嫌がるらしい。仲介業者は宅建士(宅建)の資格を持っているなのでこういう契約方法は知っていないと変なのだが、あまり一般的ではないので(そもそもシェアハウスなんて知らない)勉強したことを忘れている可能性もある。
これが重要。
なお、貸主と借主が合意すれば、再契約することは可能

さて、この定期借家契約について誤解があるようだ。「退去前提の契約」、「追い出し契約」なんて言うケースもあるようだ。実は、定期借家契約をわかりやすく言うと非正規雇用契約と同じである。となると非正規雇用契約は「いつでも簡単にクビにできる契約」なのだろうか。確かにそういうふうに受け取れるかもしれない。そうであるなら、正社員での契約は「辞めることができない契約」になってしまう。私自身、派遣社員の経験があるが、雇用契約は1ヶ月だった。1ヶ月でクビになったかというそうではない。1ヶ月ごとに更新再契約という形で1年は働いた。1年後自ら転職した。もし、これが正社員の契約ならばなかなか辞められなかっただろう。どんなものでも両面、つまりメリット・デメリットがある。
一般的な普通賃貸契約は2年だが、2年経たずに引っ越しすることもあるだろう。例えば、1ヶ月(極端な例)とか。そういう場合、借りる側にとって不利になる。最初から短期なのが明らかならば定期借家契約で借りることもできるはずだ。しかし、そういう交渉は基本的にはできない。仲介業者も大家も知識がないからだ。あっても認めないかもしれない。シェアハウスでよくあるのが最初3ヶ月の定期借家契約でその後1年契約になるパターン。これは貸す側が借りる人の性格を見極めたいという意図もあるし、一方で借りる側もとりあえず3ヶ月でお試しで住んでみてから決めたいという双方のメリットがある。契約とは本来双方にメリットがあるべきだ。
現在、通常の賃貸だと「お試し」というのがない。これは借りる側にとって不利だ。貸す側からすると本当に住んでくれるかわからないのに1ヶ月だけ貸すというのも面倒だ。だから「お試し」なんてしない。ちなみに最初の何ヶ月は家賃タダというフリーレントというものがあるが、あれは定期借家契約ではないので注意が必要だ。
2年契約だから2年住んでくれるだろうと思ったら、半年で出て行ってしまう。4年も住むつもりがないのに住んで2年後にまた2年の契約をしてしまう。
今の時世、1年先のことさえわからないのに2年というのはそもそも時代に合っているのだろうか。そんな疑問もある。また、電気やガス自由化も近いうちにある。そうなるとずっと同じ電力会社、ガス会社を使う必要もない。このように時代が変化していくのだから、契約は長くて1年くらいがちょうどよいではないだろうか。
1年間だけ住みたいという場合は借りる物件がないのだろうか。それは不便だ。いろんな契約方法があっていいはずだ。1年間住むとわかっていても2年の契約というのはおかしい気もする。岡山人にわかりやすいように「車」を例にしてみよう。ある人に車を貸す。契約は2年。しかし、借り主の行いが良くないことに気づいた。1年以内で契約を終了させようとするが、貸主からの契約解除は半年以上前に通告する必要がある。これは不便だ。それなら最初から1ヶ月か3ヶ月の契約にして様子を見て再契約していけば安全ではないか。

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